契約彼女にした理由
辿り着いた先

2度目の誤解

目の前にある携帯が光る。


相手は分かっている――――学だ。


携帯を見つめていれば、暫くすると携帯は切れた。



「吉良、携帯に出ないのか?」



私の体が大きく揺れた。背後に視線を向ければ、課長が不思議そうに私を見下ろしていた。



「さっきから鳴ってるだろ?就業時間外だから出ても平気だぞ。」


「………いえ、今は話したくない相手なので。」


「喧嘩か?早く解決しないと尾を引くぞ?」



課長が私に資料を手渡した。



「明日、午後から取引先に行く。吉良も同行しろよ。」


「………はい。」


「ほら、集中しろ。帰れないぞ?」



課長が私に背を向けて自分の席に向かった。


私は再び自分のPCに視線を向けた。



『早く解決しないと尾を引くぞ。』



課長の言う通りだ。いつまでもグチグチと考えているのは私らしくない。


私はチラリと携帯に視線を向けてから、再び残りの作業を進めた。
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