不審メールが繋げた想い

真さんが来る事になっていて来てない事、知らなければ各務さんは来ていないはず…。どんな理由かまでは知らなくても、来なくなった事は知っていたって事かな…。うん、知ってるよね、知らない訳ないよ、マネージャーさんなんだから。居場所だってきっと把握してるんだと思う。…あぁ、来たのは昨夜だから…。もしかして慰めに来てくれたのかな…?。そんな訳ないか…。真さんが送ってくれたクリスマスケーキもあるけど、各務さんは甘いものは苦手そうだったから…。
朝ご飯の後片付けを一緒にした。あっという間に終わった。

「ホットカーペットに脚を投げ出して、好きなように、どんな風でも、楽にしてください。遠慮とかしなくて大丈夫ですから、気楽にしてください」

いつもゴロゴロした時のために、大判のブランケットもソファーに置いてある。使ってもらって構わない。

「有難う、何だかこんなにゆっくり過ごすのは久し振りで癖になると恐いな…もうウトウトしてしまいそうだ」

日頃の疲れだって溜まっているかも知れない。休み癖が恐いなんて、それほど仕事漬けなんだ…。休みなく働いている人は休むと途端に何をしたらいいか解らないって。
気を抜けるなら楽にしてて欲しい。

「本当に気は遣わないでください。構いませんよ、ウトウトしちゃってください。今日だって夜間の運転で疲れてると思うし。クッションも使ってください。あの…真さんが送ってくれたクリスマスケーキ、あまり甘くなさそうなチョコのですけど、ありますが、食べますか?」

聞かずに出してもいいのだけれど。

「…いや、それは…遠慮しておくよ。有難う」

「解りました。あの…真さんとお母さんのクリスマスプレゼントがあるんですけど、各務さんにお願いする訳にはいかないですよね?」

あ、真さん真さんて、真さんの事ばっかり。マネージャーさんだと思うとついごめんなさい。だって…来ないし、連絡も中々してくれなかったし…。

「んん、そうだね。それは今回は無理かな」

ですよね。何故預かってるってなってしまうものね。

「真に聞いてみた方がいいですね」

「…はい」

ブー、…。あ、携帯。

「すみません、ちょっと、見ます」

「どうぞ」

…真さんからだ。なんだろう。

「真さんです!」

「…そうですか」

【〇月〇日。休日だよね、空けておいて欲しい】

あ、…何、…今度は何があるの。また、こんな…いきなり用件だけ。今回の事については何も説明はないの?これもまたドタキャンとかされるんじゃ…。

【急激に太るとかなしにしておいて欲しい】

は?何…?

「どういう…」

「どうしたのです?」

「あ…はい。〇月〇日、空けとくように、と、急激に太るのはなしって…。何でしょう、これって」

「…あー、まあ、…現状維持でいいって事でしょう。ほら、ケーキも送って来てるし。ワンホールを一人で一気に食べちゃったら太るかも知れない。だから心配したんじゃないのかな。……真は全てにおいて言葉足らずなところがあるから…」

「それは…確かにないとは言えませんけど。…でも。何があるんでしょうか、この日…いきなり空いてるかの確認をされて…休みは確かに休みですけど」

一気に食べたら絶対太る…それは自信がある。太るだけではなく、肌にも多かれ少なかれ影響が出る。更に休みが続く中、ゴロゴロしてお餅を食べたり、動きもせず過ごしてしまうと、この時期、一キロ二キロは簡単に増えてしまう…。重さもだけど体形の変化と言った方がいいかも知れない。年齢的にも太りやすくなった。いや、痩せ難くなった。お腹がポコッてなるのは目に見えてる。

「またチケットの手配をして、その日、来て頂く事になるんだと思いますよ」

「でしょうか…」

「あ…ま、私には解りませんが。あくまで想像で言ってみただけです。今、プレゼントの事を聞いてみては?このタイミングならまだメールは来るでしょう」

そうだ。

「はい。そうですね」

【クリスマスプレゼント、会えなかったから、その日に持って行きます】

【有難う】

「会う日に持って行きますって送ったら、有難うって事なので、やっぱり私が行く事になるようですね」

「あぁ、そうですか」

ん…何だか、各務さん、歯切れが悪い…。
一体、今度は何…。何かって事、真さんは言ってくれないから全然解らない。いつも不安が付き纏うんだけど。また、ドタキャンパターンとか…。アリバイ工作の為にまた?…とか。それとも今回会えなかったからお詫びのつもりで何かサプライズ的なモノ?だから詳しく言わないのかな。んー、だったらこっちに来てくれるんじゃないかな。でもそれは簡単には無理か。もう…。聞けば教えてくれるのかも知れないけど…解らない…。
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