赤い糸~切れた糸の続き~
しばらくしたある日ー

部屋でくつろいでると、ドアがノックされ、聖が入ってきた。

「姉ちゃんさあ、恋愛はもうずっとしないつもり?」と言ってきた。

「わからないわ。けど…まだ忘れられないし、あのひとのことを考えてしまうの」と私は言った。

「もう5年だよ?姉ちゃんだってさ、23だよ。そろそろ引きずってないで前向いたらどうなの?」と聖は言ってくる。

ドンー

私はグーで壁を叩いていた。

「冗談じゃないわよ!あなたに何がわかるの?!適当なこと言わないで!」

私は聖に怒鳴り付けていた。

こんなのわかってる。八つ当たりだって。

けど…もう止められなかった。

「あなただって覚えてるでしょ!私の弟だからってあんなに大事にしてもらったこと!」と私が言うと、

「ああ、忘れねぇよ。どころか健斗に出逢って忘れられなくなっちまったよ!」と聖は言ってきた。

私はそれ以上何も言えなかった。

あの人は弟である聖にまで優しく大事にしてくれていた。

聖の中からも消えていないことくらいわかってた。

なのに…聖がそんなこと言うから。

私はあの人と過ごした短い時間を、そして大切だったあの時間を忘れることは出来ない。

これからどんなことがあろうとも。

聖は唇を噛み締めて、何も言わず部屋を出ていった。

私は追いかける気力もなく、そのままベットに倒れこんだ。

初めて聖と喧嘩した…。ほんとは喧嘩なんてしたくなかった。

聖は優しくて…いつも私のことを考えてくれてる。

心配してくれてる…。そんなこと、わかってた。

なのに…なのに…あんなに当たってしまうなんて…。

許してもらえないかもしれない。

そう思うと苦しくなった。けど…疲れていたせいか、私はそのまま眠ってしまった。
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