夢幻の騎士と片翼の王女
*
「あんたのせいで……!」
そう言った母の視線が、私を射るようだった。
ある日、私と母は屋敷を追い出された。
まるで迷い込んだ薄汚い野良犬でも追い出すかのように、私達は、屋敷の裏口から罵声と共に追い出された。
それから馬車に載せられ、薄暗くなった頃、馬車はひどく田舎の村に到着した。
「お母さん…ここは…?」
私が訊ねても、母は何も言わず、ずんずんと先を歩いた。
私はそれに追いつこうと、早足で母の後を追った。
母は、村のはずれのくずれかけた小屋に入って行った。
それはまるで家畜小屋のような汚くて小さな小屋だった。
家の中はほこり臭く、暗くて良く見えない。
「あっ!」
床に転がっていた何かにつまずき私が転んでも、母は振り向きもしなかった。
「もう寝るよ、晩御飯はないからね!」
険のある声でそう言うと、母は部屋に入って扉を閉めた。
私はゆっくりと立ち上がり、母の入って行った部屋の隣の扉を開いた。
クローゼットよりも狭いその部屋には、寝台と小さな机があるだけだった。
寝台に座ると、冷たくて湿っていて固い寝具の感触を感じた。
こんなところではとても眠れそうにないと思ったけど、初めての遠出で疲れていたのか、私は知らないうちに眠ってしまっていた。
「あんたのせいで……!」
そう言った母の視線が、私を射るようだった。
ある日、私と母は屋敷を追い出された。
まるで迷い込んだ薄汚い野良犬でも追い出すかのように、私達は、屋敷の裏口から罵声と共に追い出された。
それから馬車に載せられ、薄暗くなった頃、馬車はひどく田舎の村に到着した。
「お母さん…ここは…?」
私が訊ねても、母は何も言わず、ずんずんと先を歩いた。
私はそれに追いつこうと、早足で母の後を追った。
母は、村のはずれのくずれかけた小屋に入って行った。
それはまるで家畜小屋のような汚くて小さな小屋だった。
家の中はほこり臭く、暗くて良く見えない。
「あっ!」
床に転がっていた何かにつまずき私が転んでも、母は振り向きもしなかった。
「もう寝るよ、晩御飯はないからね!」
険のある声でそう言うと、母は部屋に入って扉を閉めた。
私はゆっくりと立ち上がり、母の入って行った部屋の隣の扉を開いた。
クローゼットよりも狭いその部屋には、寝台と小さな机があるだけだった。
寝台に座ると、冷たくて湿っていて固い寝具の感触を感じた。
こんなところではとても眠れそうにないと思ったけど、初めての遠出で疲れていたのか、私は知らないうちに眠ってしまっていた。