夢幻の騎士と片翼の王女
「亜里沙様、良くご覧ください。」

私は、どんなことも受け入れるしかないんだ。
そう思い、仕方なく男性の体に視線を移した。
初めて間近に見る男性の裸体…鍛え抜かれた筋肉の上ににじんだ汗がキラキラしてて、ちょっと素敵…



(わっ…)



見てしまった。
男性のあの部分を…恥ずかしさに顔が火照る。
まだ幼い頃、お父さんやお兄ちゃんと一緒にお風呂に入った時に、見たことはあるけれど…
その時は、自分とは違うってことしか思わなかった。
でも、今は違う…
それは、思ってたよりもずっと生々しい代物で…しかも思ってたよりも大きい。
こんなのがさらに大きくなって、私の中に入って来るのかと思うと、なんだかとても怖い気がした。



「亜里沙様、これが男性の性器です。
性行為をする時には、これが大きく固くなります。」



そのくらい、知ってるってば!
恥ずかしいから、そんな話はやめて!



そう言いたかったけど、言えるはずもなく、私は小さく頷いた。



「亜里沙様、もっとしっかりご覧あそばせ!」

マリエッタさんがそう言われても、直視するのは恥ずかしい。



「あは…ははは。」

なんだかもうわけがわからなくなってきて、私は不自然に笑ってしまった。



「亜里沙様、おふざけにならず、もっと近寄ってしっかりご覧ください。
とても大切なことです。」



無茶を言わないで下さい。
もう、本当にありえない!
でも、見ないとまたマリエッタさんに叱られそうだから、私は視線だけをそちらに向けて、必死に気を逸らした。
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