夢幻の騎士と片翼の王女
考えてみれば、私はいつもリュシアン様に助けられている。
それがどうしてなのか、いまだに私にはわからない。



私は、アドルフ様の側室…
とはいえ、アドルフ様とは最後まで清い関係だったけど…



国王夫妻は、きっと私のことを憎いと思ってらっしゃるはず…
だって、私のせいでアドルフ様は…
もしかしたら、何か罰でも受けるんじゃないかって思ってたけど、国王陛下は慈悲深い方なのか、私は特にこれといった咎めを受けることはなかった。
それどころか、新しいお屋敷もいただいたし、側室だった時と全く同じように、今も何不自由なく生活出来ている。



今も迷う気持ちはある。
もうアドルフ様はいらっしゃらないんだし、このまま恩恵を受け続けて良いのかって…



また、ジェームスさんのお花屋さんで働かせてもらおうかなって思うこともあるけど…
気まずい気持ちもある。
私が、アドルフ様の側室になったことは知られてるんだし、ジェームスさんが私に気を遣うんじゃないかって…



それに…私もまだ自信がない。
最近は、人に会ったり話すことが苦手になってるから、ちゃんと働けるかどうかわからないから。



なんだかんだ言っても、私はずるいのかもしれない。
今のぬるま湯みたいな暮らしに、どっぷりとはまり込んで、なかなか抜け出せないでいるんだから。
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