夢幻の騎士と片翼の王女

（幽閉って…そんな！）



どうして？
私達は塔の中に閉じ込められてるっていうのに、この人たちはどうしてこんなに落ち着いてるの？？



「つ、つまり、私達は幽閉されて…
って、だから、どうして幽閉されなきゃならないの？」

私がそう言うと、二人は顔を見合わせた。



「亜里沙様、あなた様はアドルフ王子の御側室になられたのですよ。」

「そ、それは聞いたわ。」

「ですが、陛下とのお取り決めにより、正式なご側室のなるのは半年後となりました。
なにしろ、アドルフ様は明日ジゼル姫とご結婚なさるのです。
陛下は、ジゼル姫様の御心を気遣われたのでしょう。」

ブラウンの髪のメイドさんがそう言った。
確かにそうだよ。
結婚式もまだやってないうちから、夫に側室がいるなんて、誰だっていやだと思う。



「その間に、リュシアン様が万一亜里沙様に何かされないように、そのために半年間はこの幽閉の塔に隠されることになったのです。
つまり、亜里沙様の安全のためです。」

今度は金髪のメイドさんが説明してくれた。
リュシアン様が万一って…そこまで対策を練られるなんて、リュシアン様…やっぱりすごい女好きなんだね…



ちょっとびっくりはしたけれど…とりあえず、理由はわかった。
そっか…私はアドルフ様の側室に…



（……ん、んん？そ、側室…！？）



それって…愛人みたいなものだよね？



「えーーーーっ！」



私が急に大きな声を出したから、二人のメイドさんはびっくりして大きく目を見開いた。



「亜里沙様、どうかなさいましたか？」
「亜里沙様、どうかなさいましたか？」



二人の声が、双子みたいにうまく重なった。



そりゃあ、侍女という名の娼婦としてこの城には来たけれど…
私は、突然、娼婦から、愛人になったってこと？



（う～ん……）



どっちが良いかなんてわからないけど、なんだかえらいことになったってことは、漠然と感じた。