夢幻の騎士と片翼の王女
「まずは、とにかくお部屋へ…」

「え?あ、はい。」



中は、それなりに広い。
だけど、窓はすごく高い所にあって、しかも小さいから部屋の中は薄暗い。
金髪の方のメイドさんがそれに気付いたのか、ランプに火を灯してくれた。



「あの…どちらがメアリーさんで、どちらがアンナさんなんですか?」

「私がメアリーです。」

そう言ったのは、金髪のメイドさんだった。



「じゃあ、あなたがアンナさん…」

「はい、アンナです。」

今度はブラウンの髪のメイドさんが応えた。



奥のベッドには白いレースの天蓋がついている。
ベッドの細工も繊細で、まさに、お姫様のベッドって感じだ。
その手前には、猫足の長椅子とテーブル…
食事はここでするのかな?
そして、片隅には小さな文机と鏡台。
なんと、お風呂やトイレもあった。
水の設備はどうなってるんだろう?



「ねぇ、あなた達のお部屋も見て良い?」

「それは構いませんが、見ても何も面白くありませんよ。」



メイドさんたちの部屋は、隣とは全然違い、狭くて暗くて、ほんの少しのぞいただけでもとても居心地が悪い部屋だった。



「こんなに狭いの…それに暗いわね。」

「メイドの部屋なんてこんなものですわ。」

「ところで、ここには台所はないようだけど、食事はどうするの?」

「御心配には及びませんわ。食事は毎回持って来てくれますから。」

「そう…」



メイドさんたちは、閉じ込められている今のこの状況を特に苦には感じてないみたい。
こんなところで半年も暮らさなきゃいけないなんて、かなりのストレスだと思ったんだけど…
でも、何事も気の持ちようだ。



(私も早く慣れなきゃね…)


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