ヴァージンの不埒な欲望

「おはようございます!お待たせしました!」

「おはよう、愛美ちゃん!突然ごめんね!」

私は、転がり出るように車から降りた。拓夢さんもいつものように、助手席の扉を開いていてくれた。

「現地に向かいながら話すね」と拓夢さんが言い、私が頷いたのを見て車が発進した。

出かける準備をしながら、思い出した。私達が住んでいる街から車で一時間程かかる街に、移動サーカスが二ヶ月くらい前から来ていた。

「家族でサーカスに行ってきた」という話を、職場の昼休憩の時、聞いた事もあった。

「愛美ちゃん、本当に今日、予定なかった?」

車が発進してから五分くらい経った頃、拓夢さんがチラリとこちらを横目で見ながら聞いてきた。

「はい!家で本を読んでいただけですし、今日も明日も、特に予定はありません!」

拓夢さんの方を見ながらキッパリと言い切った後、恥ずかしくなって視線を逸らした。

私ったら自分が暇な事、何を力強く言い切っているの!

「来てくれて、ありがとう、愛美ちゃん」

クスッと笑って、拓夢さんはそう言ってくれた。

「こちらこそ、お誘いくださってありがとうございます」


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