ヴァージンの不埒な欲望

頬が熱くなるのを感じながら、俯き加減で頭を下げた。

今日はクライアントに、加賀見さんと二人で会う事になっていたが、相手が体調不良でそれが延期になったそうだ。

本当に予定があったのだと、拓夢さんの話を聞きながらホッとした。悩み事があるように感じたのも、私の勝手な思い込みだろう。

加賀見さんは拓夢さんと同じマンションの、すぐ上の階に住んでいて、今日の予定変更を直接知らせに来てくれた。

その時、押し付けるように加賀見さんに渡されたのが移動サーカスのチケットだった。

サーカスの公演は明日までだ。明日は自分と楠さんが観に行くので、拓夢さんは今日これから観に行ったらいい。チケットも二枚あるので、この前一緒だった星野さんを誘ったらどうだ?と強引に話を決めて、加賀見さんの目の前で私に連絡をする事になったそうだ。

いつもと違う強引な加賀見さんの勢いに呑まれ、思わず加賀見さんの言う通りに動いてしまったと、少し悔しそうに拓夢さんが話した。

「そうだったんですね。でも、私はサーカスに誘っていただいて、本当に嬉しいです。加賀見さんにも、お礼を伝えてくださいね」

素直な思いを、自然と口にしていた。

そんな私を横目で見た拓夢さんが、小さく息を吐いた。


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