ヴァージンの不埒な欲望
「確かに加賀見は強引だったけど、俺が愛美ちゃんと一緒にサーカスに行きたかったから、愛美ちゃんを誘ったんだよ。ここにいない加賀見に、ちょっと意地をはって変な言い方をしちゃったね。ごめん!」
眉尻を下げる拓夢さんに、「いえ、そんな」なんて言いながら何度も首を振った。
『俺が愛美ちゃんと一緒にサーカスに行きたかった』
拓夢さんの言葉がジワジワと心に沁みてきて、徐々に頬が熱くなる。
その言葉に、きっと深い意味はないのだろう。それでも、照れと嬉しさで気持ちが高揚していくのを止める事はできなかった。
「愛美ちゃんが嬉しいと言ってくれるなら、今日のサーカスはこの前言っていたご褒美になるかな?」
それまでの空気を変えるように、拓夢さんが明るい声音で言った。
「はい!とてもステキなご褒美です!」
私もそれに応えるように、笑顔で大きく頷いた。乙女系ノベル的妄想は、しっかりと封印する。
「誘って、本当によかった」
そう言った拓夢さんの微笑みは、今日初めて見た拓夢さんらしい柔らかできれいな笑みだった。