ヴァージンの不埒な欲望

サーカスの公演は十三時から、一時間三十分行われる。拓夢さんが加賀見さんから渡されたチケットは自由席券で、円状のステージを斜め後ろから観るような席になり、席数も限られている。それに何種類かある指定席券の代金をプラスする事で、正面に近い指定席を選べるようになる。

土日は満席になりやすく、公演期間の終了が近付く毎に観客が増えているそうだ。当日の指定席券が発売され始める公演開始時間の一時間前には会場に到着していた方がいい。

加賀見さんにチケットを譲ってくれた人から聞いた話を拓夢さんにそのまま伝え、「早く!」と加賀見さんに急かされたそうだ。

そういう事を考えると、約束した十一時でもギリギリの到着時間になる。でも……

「拓夢さん、今日の夕方か夜にでも、何か予定がありますか?」

拓夢さんに渡されたサーカスのチケットを見ながら訊いた。

「ん?……今日は、午前中にクライアントと会う予定だけだけど?」

小首を傾げながら、拓夢さんがこちらをチラリと見た。

「それなら、よかったです。十五時半からの公演があるのに、ギリギリの十三時の公演にしたのは、その後に何か予定があるからなのかと心配しました」

ホッと息を吐いてから言った。


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