ヴァージンの不埒な欲望

「えっ!?……十五時半?」

「はい。平日は十三時の公演が最後ですが、土日は十五時半からの公演があるようです」

戸惑ったような様子の拓夢さんに、チケットの裏を確認しながら言った。

拓夢さんは一瞬固まった後、大きな溜め息をついた。「加賀見のヤツ」とかブツブツ言っている。なんとなく、横顔が赤くなっているように見える。

サーカスのチケットは、拓夢さんのお財布の中から取り出された。チケットの裏側には、公演時間などが印刷されていた。特に封筒等には入っていなかったが、加賀見さんに急かされて、じっくりとチケットを見る余裕もなかったのだろう。

もしかしたら加賀見さんは、わざとその事を言わなかったのだろうか?それは、どうしてだろう?拓夢さんを急かした理由が、何かあるのだろうか?

「ごめんね、愛美ちゃん。俺の確認不足で、愛美ちゃんまで慌てさせて」

一人で考えていたら、拓夢さんの元気のない声が聞こえた。

「とりあえず現地まで向かってゆっくりした後、十五時半からの公演を観ようか?」

「いえ、このまま十三時の公演が観たいです。早く観たくて、ワクワクしてるんです!」


< 142 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop