ヴァージンの不埒な欲望
落ち込み気味の拓夢さんを元気付けるように、いつもより声を張って明るく言ってみた。サーカスが早く観たいのは、本当の事だから。
「そっか。うん、俺もサーカス楽しみだ」
「拓夢さん、おにぎり、鮭とツナマヨ、どっちがいいですか?」
拓夢さんが笑ったので、私も笑顔を返した。空気を変えるように、膝の上に乗せた袋の中を覗きながら拓夢さんに訊いた。
ゆっくりお昼を食べる時間がなさそうだからと、拓夢さんがコンビニに寄って、おにぎりやサンドイッチなどを買って持ってきてくれていた。
拓夢さんが選んだツナマヨおにぎりのフィルムを外して、拓夢さんに渡した。その後も、ペットボトルのお茶のキャップを緩めて渡したり、サンドイッチも拓夢さんと分けあって食べたり。
先週も車の中でお弁当を食べたけど、その時ともちょっと違う。なんか、デ、デートみたいだなぁと、気持ちが舞い上がる。
これまでの、私が変わるレッスンの為のお出かけではない。今日は『ご褒美』のお出かけなんだから、そんな弾んだ気持ちになっても、許されるよね?
私は拓夢さんの横顔に、こっそりと見惚れていた。


