ヴァージンの不埒な欲望
──拓夢さんが連れてきてくれたのは、家族連れでも気軽に入れるイタリアンレストラン『マンジャーレ』。一年程前に、町の洋食レストランから改装してイタリアンのお店となった。本格的な石窯で焼いたピザもおいしいと評判で、あっという間に人気店となった。
車で移動してお店に到着した時は、十二時過ぎという時間帯もあり、待っているお客さんもいた。が、拓夢さんは予約をしていたようで、すぐに席に案内された。
萌と「いつか行こうね」と話していた話題のお店だった。いろんなドキドキを感じながら、メニューを開いた。
メインメニューのパスタやピザを注文すれば、サラダバーとスープバーが付くようだ。明るいお店の中央には、色とりどりの様々なサラダが並べられていた。
パスタ、おいしそう!やっぱり、石窯で焼いたピザも食べたいし、なんて迷っていたら「それぞれパスタとピザを頼んでシェアしよう」と拓夢さんに言われた。
男の人と『一つのお料理を、二人で分け合う』のは、家族以外では拓夢さんが初めてだ。
特別な事ではない。デートで食事をしても、よくある事なのだろう。……それは、よくわかっている、つもりだ。
でも。頭の中で広がる妄想に熱くなった顔を隠しながら、鮭とほうれん草のクリームパスタを注文した。拓夢さんは、定番のマルゲリータ。
注文を終えると、サラダを取ってくる為に席を立つ。二人とも、お皿いっぱいにサラダをのせた。