化学反応検知中


まさしく俺の今の表情を言葉にするなら“あんぐり”だと思う。

するっと、ものの見事に俺の手からマンガ雑誌が落ちていった。


「ちょ、」


裕樹が慌てて雑誌を床から取り上げる。

レジの方を何度も気にしながら山積みになっているそこへ、マンガを戻した。


俺は未だ放心状態。


「俺は中学の時ばっさりフラれたからねえ。今は仲良い友達だけど」

「…、夢?」

「、え?」

「俺の妄想?」


もうどれが本当のことなのか、自分でも分からない。


裕樹の言っていることは本当?

もし、もしだよ?

本当のことだとする。


それなら、俺は、


「好きな人、?」

「は?」

「好きな人が、俺?」

< 67 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop