化学反応検知中
まさしく俺の今の表情を言葉にするなら“あんぐり”だと思う。
するっと、ものの見事に俺の手からマンガ雑誌が落ちていった。
「ちょ、」
裕樹が慌てて雑誌を床から取り上げる。
レジの方を何度も気にしながら山積みになっているそこへ、マンガを戻した。
俺は未だ放心状態。
「俺は中学の時ばっさりフラれたからねえ。今は仲良い友達だけど」
「…、夢?」
「、え?」
「俺の妄想?」
もうどれが本当のことなのか、自分でも分からない。
裕樹の言っていることは本当?
もし、もしだよ?
本当のことだとする。
それなら、俺は、
「好きな人、?」
「は?」
「好きな人が、俺?」