明日の蒼の空
 春子さんは、自宅近くのコンビニエンスストアで働き始めた。



 コンビニで働いていたことがあります。履歴書に書かれていただけあって、初日からテキパキと仕事をこなしている。

 レジでの対応もスムーズで、商品の補充も早い。

 挨拶の声は、他の店員さんより大きい。

 どのお客様に対しても、笑顔で接している。

 春子さんの働きっぷりを見て、私はだいぶ安心した。



「売れ残ったお弁当をいただいてもいいですか?」
 春子さんが店長さんに尋ねた。

「青葉さんは、シングルマザーなんだよね」

「はい、二人の子供の母親です」

「助けてあげたいのは山々なんだけど、衛生上の問題で、廃棄しないといけないんだよ」

「やっぱり、そうなんですか。もったいないですね」
 春子さんはがっかりした様子で小さく溜め息をついた。

 少しでも食費を浮かそうと、売れ残りのお弁当をいただこうとしている春子さんの気持ちはわかる。

 廃棄するのは本当にもったいない。私も残念に思った。



「埋め合わせとして、勤務時間は相談に乗るからさ」

「そうですか。とても助かります」

 春子さんが勤めているコンビニエンスストアの店長さんは、理解力のある人のよう。私はかなり安心した。



 春子さんのコンビニでのアルバイトは、一日に八時間。

 九時から十三時までと、十四時から十八時まで。

 お休みは週に一日だけ。平日の水曜日。
< 266 / 315 >

この作品をシェア

pagetop