明日の蒼の空
「ただいまです」

「おかえり。お姉さんの様子はどうだった?」

「以前より元気そうな感じでした」

「そう。蒼衣ちゃんを失った悲しみを乗り越えるには、まだ時間が掛かると思うけど、お姉さんを見守っていきましょうね」

「はい。これからも見守っていこうと思います」

 この日の夏美さんは、彼氏さんのことは話さず、私の姉の話を聞いてくれた。



 地上の世界から、この世界に、どうして手紙が届くのだろう。いったい誰がどうやって運んでいるのだろう。私はずっと不思議に思っていた。

 自分で直接確かめるため、街の中心街にある東ひまわり郵便局に足を運び、地上の世界とこの世界で手紙を配達し続けて、八十二年になるという郵便局長の御手紙郵太郎さんに尋ねてみた。

「誰がどうやって運んでいるのかは未だに私にもわかりません。不思議なことに、毎日、この机の上に、地上の世界から届けられたお手紙が置かれているのです。多い日は、一日に三十通以上にも上ります。地上の世界で暮らしている人々は、愛する人への想い、大切な人への想いを、様々な手段で伝えようとしています。その想いの一つ一つが、お手紙という形になり、この世界に届けられるのだと私は思っております」

 郵便配達一筋、手紙を配達するために生まれてきたような御手紙郵太郎さんの言うことには説得力があると私は思った。 
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