聖なる夜にくちづけを。
できれば向こうから言って欲しかったなぁ。
けれど思えばこの恋は、告白するのも私からだったっけ。
『好きなんです』って言ったら、『知ってる』って返されて、どれだけ自意識過剰なんだろうって思ったけど、すごく嬉しそうな顔して笑ってたから可笑しくて嬉しくて呆れた。
あんまりにも嬉しそうだから、『私のこと、好きですよね?』って聞いたら屈託なく『うん』という。
この言葉を伝えたら、あなたはまた笑うんだろうか?
それとも違う顔をするのだろうか?
それでもこの関係を変えるきっかけは、作らないと無いのなら、動くしかない。
だって私は、彼のことが好きなんだから。
ずっと一緒に居たいと思うのだから。
バスルームを出て、身支度を整える。
シャワーと一緒にすっかり酔いは覚めて、いつ言うか、何て言おうか、ワクワクとする気持ちで考えながらドライヤーを充てる。
開き直ってしまえば心は案外浮かれているようだ。
断られるかも、なんてことは今は考えない。
どうせならサプライズで花束に指輪なんか用意したりして?
それも楽しいかもしれない。
ドライヤーを止めて顔に化粧水を叩き込む頃にはそんな妄想を膨らませて、気が付けば誕生日は過ぎ去っていた。
ベッドに潜り、スマホを充電させようと手に取るとチカチカと緑に点滅して着信を知らせていた。
指を滑らせて開くと、聡子からの『今日はありがとう。32歳、まだまだこれから。お互い頑張ろうね』というメッセージ。
愚痴に付き合ってもらったのは自分な気がしなくもないけれど、お互いに“おめでとう”の気持ちを含んでいたのは確かなので、それには甘んじて目を瞑らせてもらうことにする。
『こちらこそ。また1年頑張ろうね!』と、返信をして充電に繋いでいると直ぐにまたポン、とスマホが音を立てた。
レスポンス早っ、と思ったら相手は予期せぬ相手で驚いた。