熱愛系エリートに捕まりました
にこ、と笑う姿は落ち着いた大人の風体で、胸がキュンとしてしまうのはもはや当然のことだと思う。


「うん、可愛い」

「あ、ありがとうございます…薬師丸さんもかっこいいです」


ひぇー、と内心では飛び上がりながら、だらしなく緩みそうになる口元を引き締めた。

彼はいつもそういうことを臆面もなくストレートに言うから、こっちの方が照れてしまう。

薬師丸さんは遊び人ではないけど、そう…フェミニストなんだ!


「じゃ、行こうか」


自然な動作で手を差し出され、思わず自分の手を重ねると、そのまま繋がれて歩き出す。

この前初めて手を繋いだばかりなのに、あまりにも違和感の成り行きについ身を任せてしまった。

びっくりしたけれど、今さら振り払うような真似もできないので、火照る顔を俯けて大人しく従った。
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