熱愛系エリートに捕まりました
わたしは緊張で固まりそうな足をなんとか動かし、黒服さんが引いてくれた椅子に腰掛ける。

慣れない動作にどきまぎしたけれど、なんとかずっこけるようなこともなく着席した。


黒服さんと薬師丸さんが、食前酒がどうとかで何か話しているけれど、よくわからないので基本的にお任せだ。

彼もそれをわかっているから、わたしの好みも考慮して頼んでくれたみたい。


「別にそんな緊張しなくても」

「しますよ。たとえ社員でも、上層階に足を踏み入れることはまずないんですから…」


苦笑いする薬師丸さんをちょっと睨む。

決して恨んでるわけではないのだけれど、緊張するなというのは無理な話だわ。


ここはB.C.square TOKYO 53階の高級レストラン。

B.C.Building Inc.の女性社員が誰もが一度は行ってみたいと憧れる、バーとラウンジに並ぶ最上部のセレブフロアだ。
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