熱愛系エリートに捕まりました
でも、そんなことを考えた時点で、恋は始まっていたんだと今ならわかる。

あの土曜日の朝、想定外の事態に混乱した中でも、わたしは彼に惹かれていたんだわ。


「瞳子?どうしたの?」

「えっ?あ、あぁ…ごめんなさい」


気づくとぼんやりしていたらしく、薬師丸さんの呼びかけでハッと我に返った。

テーブルにはいつの間にか食前酒のワインが注がれたグラスが2つ、それぞれの前に置かれていた。

サーブにも気づかなかったなんて、どれだけ思考に沈んでいたのかしら…


「なんだかんだで歩き通しだったからね。疲れたかな」

「うーん、ちょっと?でも大丈夫ですよ」


眉を下げる薬師丸さんに、あえて肯定しつつもおどけたように首を傾げてみせた。

何でもない、なんて言うよりも、こうした方が心配させないわよね。
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