熱愛系エリートに捕まりました
中世ヨーロッパ風の瀟洒な内装のリビングで、二人並んでソファに腰かける。

そういえばあのときは、L字に並んだ二脚のそれぞれに座ったんだったとふと思い出す。


距離は確実に縮まった。

でも、わたしたちはここから変われない。


「緊張してる?」

「…はい」


それはそれで、本当なんだけれど。

この部屋に入るまでと違って、今の心境はそれだけじゃなかった。


自分が期待していたことに気づいてしまった。

今日で最後と決意しながらも、聖夜にかこつけて何かが起こりはしないかと。

…わたしが、薬師丸さんの特別になれる可能性だってあるんじゃないか、と。


でも、あの日と同じこの部屋が、そんな馬鹿な女の幻想を見事に打ち砕いた。
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