熱愛系エリートに捕まりました
俯いた視界の中、聞こえてきた薬師丸さんの声は震えていた。

あぁ、遊びの女からフラれるなんて、彼のプライドを傷つけてしまったのかしら。

怒らせちゃったらどうしよう…


「ちょっと待て瞳子!どういうことだよ?やっぱり抱かれるのが嫌っていうなら、何もしないから…!」


悲愴な気分に浸っていたら、何やら必死の形相で顔を覗き込まれ、捲し立てられる。

その表情があまりにも切羽詰まっていて、わたしはゆるゆると顔を上げた。


改めて正面から見た彼のアイドル顔には困惑と焦燥が浮かんでいて、わたしも戸惑った。

そんなにおかしなこと言ったかしら…


「ごめん、やっぱり強引だったよな。本当は嫌だったんだな。でも、それならそう言って拒否してくれていいんだよ、瞳子」


言い訳するみたいに、眉尻を下げて視線を泳がせながら薬師丸さんがつらつらと語る。
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