熱愛系エリートに捕まりました
陳列棚をキョロキョロと見渡しながら他愛もないおしゃべりに興じる彼女は、紛う事なくあのときの女性だった。

凝視してしまいそうになって、慌てて正面の棚に向き直る。

でも、バックンバックンとド派手に鼓動を打ち鳴らす心臓はなかなか治りそうにない。


まさか、そんな。こんな偶然ってあるのか?

いや、実際に彼女は目の前にいる。顔も声も記憶の通りで、人違いでもない。


「あー、優男系?」

「そうですね。なんとかだよな、って言う人より、なんとかだよね、って言う感じの人の方がいいっていうか」

「じゃあ強引なのは嫌なんだ?」

「ドラマや漫画だったらキュンとしますけど、実際自分がそう言う風にされたらちょっと嫌ですね…横暴に感じちゃいそう」

「瞳子ちゃんって結構マイペースだもんねぇ」


そんな会話を俺の耳に残して、二人は商品を選び終えてレジの待機列に移動する。
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