熱愛系エリートに捕まりました
一日がもう終わろうかというこの時間でも空いているってことは、飲食店…とくに酒を扱う店だろうと当たりをつけ、誘蛾灯に引き寄せられる虫のようにふらふらと近づいた。

なんだか軽く飲みたくなったし、カフェバーらしきその店は外観も素朴なアンティークじみていて雰囲気がよく、惹かれるものがあったからだろう。


そうして、普段はあまり訪れない地域の、気まぐれに立ち寄った店で、俺はようやく彼女と出会うことができたのだった。


─────・・・


「…信じて、くれるか?」


そう言って、俯き気味に上目遣いでこちらを窺う薬師丸さんは、悪戯がバレて叱られた少年のようだった。

それは即ち、シュンとして反省の意を示しているということでもあるわけだけど…


「…ちょっと、理解が追いつかないです」


わたしは額を抑え、力なくかぶりを振った。
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