熱愛系エリートに捕まりました
そんなことを半年ほど続け、秋が深まる頃。

それまではやんわりと楓をあしらっていた薬師丸が、とうとうはっきりと告げた。


「好きな女性がいて、今口説いてるところなんです。だから、こちらにはその気もないのにしつこく誘われるのは迷惑です。いい加減にしてください」


愛想笑いすらないままに宣言された楓は、とてつもない衝撃を受けた。

こんなに可愛い自分が好意を寄せてるのに、無表情で迷惑だと断られるなんて。


そもそも、わたしが近くにいるのに他に好きな女がいるなんて。

わたしより可愛い女がいるっていうの?


入社以来ズタズタだったプライドをさらに粉々に砕かれた楓は、よりムキになって薬師丸に付き纏った。

薬師丸が、普段はあまり馴れ合わない同僚たちにすら同情されたのだから、それは傍から見ていても相当なものだった。
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