熱愛系エリートに捕まりました
エレベーターに乗り込むと途端に彼のテンションが下がり黙り込んで、あの女にしていたように笑顔で話しかけてくることはない。

楓は憤った。それは本人の感覚からすれば義憤めいてすらいた。


あんな女が自分より優れているわけがない。

だって自分の方が可愛いのだから、女としてよりよいのは自分の方だ。

薬師丸はただの遊び相手に感情移入してしまって、周りが見えていないのだ。


そう、今は楓のことも見えていないから血迷っているだけ。

目が醒めれば楓の可愛さに気づいて、こちらを振り向くに決まっている。

そのためには、ちょっと優しくされたからって勘違いして、調子に乗って彼女気取りをしているあの女を追い払わなければ。


そうして毎日終業後にエントランスで待ち伏せしていたのだが、あの女がなかなか出てこないので痺れを切らして帰ることが続いた。

師走なのだからどこも忙しく、定時で上がれるわけがないのだから当たり前である。
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