熱愛系エリートに捕まりました
「一度、きちんと御断りしたはずなんですがね…」

「な、な、」

「まさか私の意中の女性に攻撃するとは、そこまで非常識だとは想定していませんでした」


まさしく開いた口が塞がらない。

何かを言おうとして、だが何も言えず、ぱくぱくと空気を食べるのみ。


「なのでこちらも、よほど白黒はっきりつけないとご理解頂けないかと思いましたので、このような場所でこのようにさせて頂きました」


蔑まれているのだと、楓はここに至ってようやく理解が追いついた。


ここは日中のオフィスのど真ん中であり、フロアの壁はほとんどがガラス張りなので、廊下といえど周りにも筒抜けである。

廊下を行き交う人や、デスクについてパソコンに向かう人、そこかしこで立ち止まり何かを話し合う人。

彼らは皆一様に、修羅場の予感に眉を顰めてちらちらとこちらを窺っている。
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