熱愛系エリートに捕まりました
衆人環視の中ではっきり振ることで、出る杭を打つつもりだと、そういうことなのだろう。

それもすべてあの女のために。

そこまで飲み込めた途端、カッと頭に血が上った。


「何よ、ちょっといい顔してあげただけで調子に乗っちゃって!あんたなんかこっちから願い下げよ!こんな会社辞めてやるわ!」


甲高い声で絶叫し、デスクに戻って荷物をまとめ、オフィスを飛び出す。

誰にも引き止められなかった意味を考えることもなく、ほぼ全員からの呆れ果てた視線に見送られながら。


結局、それから一度も出勤しないまま父親に頭を下げさせて退職した楓は、メイリー&カンパニーにおいて後々まで語られることになる。



End.
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