熱愛系エリートに捕まりました
「もちろん、そういう奴ばっかりってわけでもないけどね。それなりに仲のいい人はいるけど、同僚と食事ってのはあんまりないかな」

「…大変ですね」


少し寂しそうに力なく笑う薬師丸さんに、そんな月並みな言葉しか言えなかった。

仕事って、働くって、大変なことだと、当たり前だし知ってたつもりだけど、彼の話を聞いて実感した。

成功者とか勝ち組とか言われて羨ましがられるような高みにいても、高いからこその苦労もあるのだと。


「職場環境はともかく、職務内容にはやりがい感じてるから言うほど不満もないんだけど。同期で飲み会とかは、正直ちょっと羨ましい」

「そういうのもないんですか?」

「あるにはあるけど、飲みに行こうって言って繰り出すのが上のバーやラウンジなんだよ。B.C.squareを出たとしても、ホテルのルーフトップラウンジとか、やたら洒落たところで」


上のバーやラウンジ…54階のバーと、55階の会員制VIPラウンジのことね。
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