熱愛系エリートに捕まりました
それから彼は、家族の思い出話なんかを聞かせてくれた。

そんなプライベートな部分を聞いてもいいのかとちょっと思ったけど、本人が気にした様子もなく喋るので耳を傾けた。


運ばれてきた料理はどれも絶品で、こんな本格フレンチは初めてで緊張していたけど、なんだかんだで楽しい食事になった。

食後にワインを飲んでいると、白いコック服に身を包んだ、がっしりした体格のダンディなおじ様が笑顔で近づいてきた。


「やぁ、蒼士くん。大きくなったなぁ!」

「その言い方はやめてくださいよ、俺もう29歳なんですよ」

「おぉ、あのチビッ子がもうそんなになったのか。そりゃ俺も歳を取るわけだ」


バシバシと豪快に薬師丸さんの背中を叩くおじ様に、彼は苦笑いしている。

しかし、その親戚のようなやり取りには親しみが溢れていた。

この人がこのオーベルジュのオーナーシェフで、薬師丸さんのお父さんのご友人なのね。
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