初めての甘い恋人
見合い相手を自分から断ることはしなかったから、祖父は次々に話をもってきた。


その日は断るために祖父の屋敷を訪れていた。


「話というのはなんじゃ」

「私はもう、見合いはしません」

「なんじゃと?」

「だから、見合いはしないと…」

「なんじゃ…好いた女でもおるのか?」


さすが祖父。話が早い。


「そうです」

「そうか……どこのお嬢さんかな?」


祖父の反応は予想外のものだった。激怒されると思っていたのに……今までにないくらいに微笑んで、私を見据えている。祖父の言葉に驚きすぎて上手く声が出なかった。


「あ、まだ出会ったばかりなので…」

「なんじゃ。我、孫のくせに、まだ落とせてないのか?」


私は祖父の言葉に面食らってしまう…。


「まぁ、良い。今度連れて来なさい」


祖父からの予想以上の言葉をもらい、屋敷をあとにした。



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