初めての甘い恋人
side 仁


トイレに行ったアリアがなかなか戻って来ない。

心配だな…。

私は洗面所へ様子を見に向い、ドアに手をかけ開けようとしたとき、私より早くアリアが開けた。

大丈夫かと声をかけたが私を見つめたまま動かない。
すると、見開かれたブルーグリーンの瞳がみるみるうちに濡れていく。

アリアの涙を見て何があったのか分からず、声もかけられず、ただ立ち尽くしていた。


こんな短時間に何が……


アリアは何も言わず、そのまま私をさけリビングへ足早に行き、素早くバックを持つとそのまま家を出ていった……


何がおきてるんだ…


私はアリアが出ていってからも動けず、洗面所の前に立ち尽くしたまま…


なぜ…?なぜ、何も言わず帰ったんだ…。



少し落ち着いてきて、今おきている事を考える。

私は、アリアの気にさわるような事をしただろうか…。

つい、先程まで甘い雰囲気で楽しくワインを飲んでいたというのに…。


電話をしようにも、連絡先も知らない…。
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