蛍が浮かぶ頃 【砂糖菓子より甘い恋2】
四の一 事件再発
龍星は自嘲気味に唇を開いた。
「まったく。気の休まるときがない。
世の中の姫君が家の中で、顔さえ隠して過ごしているのは男の都合だな、きっと」
雅之は柄になく疲弊している親友を思いやって、柔らかな微笑を浮かべた。
「でも、毬はそういうのは苦手だろうな」
「全くだ。
虎を檻に閉じ込める方がまだ容易い(たやすい)」
龍星は苦笑とも微笑ともつかない小さな笑いを浮かべた。
「それにしても、この子はいとも簡単に人を振り回す。お前があの部屋に入ってきた時、俺は言葉を失ったよ」
龍星は、昼間、接見の間に現れた雅之を思い出す。
雅之は苦い笑いを浮かべ、軽く頭を掻いた。
「俺には急を要す事態か、そうでないかは分からぬからな」
「いや、本当に助かったのだよ、雅之」
「そうか?
だと良いのだが」
「そうだ」
龍星は親友の肩を叩き労った。
「まったく。気の休まるときがない。
世の中の姫君が家の中で、顔さえ隠して過ごしているのは男の都合だな、きっと」
雅之は柄になく疲弊している親友を思いやって、柔らかな微笑を浮かべた。
「でも、毬はそういうのは苦手だろうな」
「全くだ。
虎を檻に閉じ込める方がまだ容易い(たやすい)」
龍星は苦笑とも微笑ともつかない小さな笑いを浮かべた。
「それにしても、この子はいとも簡単に人を振り回す。お前があの部屋に入ってきた時、俺は言葉を失ったよ」
龍星は、昼間、接見の間に現れた雅之を思い出す。
雅之は苦い笑いを浮かべ、軽く頭を掻いた。
「俺には急を要す事態か、そうでないかは分からぬからな」
「いや、本当に助かったのだよ、雅之」
「そうか?
だと良いのだが」
「そうだ」
龍星は親友の肩を叩き労った。