蛍が浮かぶ頃 【砂糖菓子より甘い恋2】
「誰を庇う嘘?」

帝の瞳が鋭く光る。

「別に。
そういうわけではありません。仮に調査しても、もうどうしようもないということです。

黒幕は妖怪ですし、殺人犯は壊れてしまいましたから」



「ふうん、じゃあいいか」

帝はつまらなそうに言い捨てた。


「では私はこれで」

去り行く龍星の背中に声が響く。



「でもさ、龍星。
壊れてない人間なんて、実在する?」



それは、帝の本心か。
はたまた妖狐の幻霧が見せたまやかしか。


龍星の心は悪戯に掻き回される。
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