蛍が浮かぶ頃 【砂糖菓子より甘い恋2】
「下心……って、まさかっ」
「あら、そんなに驚くことかしら?」
「だって。
龍は私のことが心配で何も手につかなくなるから、左大臣家に帰れって言ったのよ」
「あらあら。
それは恋の告白以外のなにものでもないと思うけど?」
……
………
…………!!
毬は、千にあっけらかんと言われて、動揺のあまり黙りこくってしまった。
遠くからざわざわと色めきたつ声がする。
「ほら、噂をすればなんとやらよ。このざわめきは龍星殿ね」
「え?帝じゃなくて?」
「あら、皆、帝には見馴れているもの。
遠原殿が来られる時も騒めくのだけれど、龍星殿は格別なのよ。
容姿端麗だし、あの冷たく落ち着いた表情は却って女心をくすぐるものよ」
ざわめきは波のように大きくなり、帝と龍星が入ってきた。
「姉妹二人盛り上がっているようだね」
帝の声に千が人払いして御簾をあげる。
「もちろんですわ」
……トクン、と、毬の心臓が高鳴る。
こんな公の場の龍星など見たことがない。
いつもより、一際冷めた表情でとても遠い人に思えた。
なのに。
龍星は毬を見た途端、とろけるような甘い笑みを浮かべたのだ。
毬は思わず耳まで朱に染める。
「あら、そんなに驚くことかしら?」
「だって。
龍は私のことが心配で何も手につかなくなるから、左大臣家に帰れって言ったのよ」
「あらあら。
それは恋の告白以外のなにものでもないと思うけど?」
……
………
…………!!
毬は、千にあっけらかんと言われて、動揺のあまり黙りこくってしまった。
遠くからざわざわと色めきたつ声がする。
「ほら、噂をすればなんとやらよ。このざわめきは龍星殿ね」
「え?帝じゃなくて?」
「あら、皆、帝には見馴れているもの。
遠原殿が来られる時も騒めくのだけれど、龍星殿は格別なのよ。
容姿端麗だし、あの冷たく落ち着いた表情は却って女心をくすぐるものよ」
ざわめきは波のように大きくなり、帝と龍星が入ってきた。
「姉妹二人盛り上がっているようだね」
帝の声に千が人払いして御簾をあげる。
「もちろんですわ」
……トクン、と、毬の心臓が高鳴る。
こんな公の場の龍星など見たことがない。
いつもより、一際冷めた表情でとても遠い人に思えた。
なのに。
龍星は毬を見た途端、とろけるような甘い笑みを浮かべたのだ。
毬は思わず耳まで朱に染める。