笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
 あたしは寂しさを紛らわすため、久しぶりにひとりエッチをしてみた。

 ずっと溜め込んでいたせいか、無料ドリンクを飲み過ぎたせいか、潮が噴水のように吹き出してくる。

 こんなに大量に吹けるのだから、消防士になればよかったとつくづく思う。潮で消火活動。なんていうのは冗談だ。

 快楽に浸った後は、お掃除タイム。淫らな行為で、びちょびちょに濡らしてしまった床を拭いた。



 トイレに行って手を洗った後、メールボックスを開いてみたら、まなちゃんからのメールが入っていた。

 こんばんは。どうもお疲れ様です。メールを送ってくださいまして、ありがとうございます。函館にご到着、おめでとうございます。私と海老原さんは東京に着きました。レストランで仕事の打ち合わせをしています。さきさんとの旅は、とても貴重な経験になりました。本当にいろいろとお世話になりました。三日間ほど休んでから、新作を書き始めようと思っています。旅から帰られましたら、北海道の旅の話を聞かせてくださいね。さきさんからのお手紙を楽しみにしています。さきさんの永遠の妹 山下まな

 まなちゃん、ごめんよう。

 忙しい中、メールを送ってくれたまなちゃんに申し訳ない。この歳になって、ネカフェの個室でひとりエッチをしている自分が情けなくて恥ずかしい。あたしは心から反省し、旅のルールを追加した。

 何がなんでも絶対に、宗谷岬にたどり着く。
 まなちゃんと再会するまでの間、ひとりエッチ禁止。

 自分のために、そして、まなちゃんのために。
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