笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
「疲れが取れますね」
 メガネを外したまなちゃんは、ちょー可愛い。アイドルのような顔立ち。

「うん。疲れが取れるね」

 のんびりと湯船に浸かって旅の疲れを癒し、お風呂から出て部屋に戻った。

 このまま部屋で寛ぎたいところだけど、今のうちにやっておかなければならないことがある。

「コインランドリーに行ってくるね」
「はい。いってらっしゃい」

 まなちゃんに見送られ、あたしはホテルから出てコインランドリーに行き、溜まっていた洗濯物をまとめて洗濯した。

 外がガヤガヤと騒がしい。
 コインランドリー内の時計の時刻は、十時四十八分。
 池袋の街はまだまだ賑わいを見せている。

 洗い終えた洗濯物を持って、はしゃいでいる若者たちを横目で見ながらホテルに戻った。

「まなちゃん、ただいま。ドアを開けてくれるかな」
「さきさん、おかえりなさい」
 まなちゃんが愛らしい笑顔でドアを開けてくれた。

 今までずっとゴキブリのみーちゃんに出迎えられていたあたし。
 こうして人に出迎えられたのは、かなり久しぶり。

 ただいまを言える相手がいる。こんなに嬉しいことはない。

「明日に備えて眠ろうか」
「はい。ゆっくり休んでくださいね。さきさん、おやすみなさい」
 あたしに従順なまなちゃんは、愛らしい笑顔のまま、ベッドに入って横になった。

「まなちゃん、おやすみ。また明日ね」
 あたしは部屋の電気を消してから、ベッドに入って横になった。

 旅に出てからずっと固いところで眠っていたので、今夜は背中が楽チン。自然とリラックス出来る。

まなちゃんが隣のベッドですやすやと眠っているので、ひとりエッチをするわけにはいかない。
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