食わずぎらいのそのあとに。
結婚考えてたって、そういうことか! お父さんに言われていたなんて……それは重い。考えざるを得ない。
「ほんと?」
「ほんとだって。考えてたって言っただろ。だけどこういう順番になっちゃったから、挨拶っていうか謝りに行きたいんだって」
お父さんに謝る必要なんかないよ。きっともらってくれてありがとうって感じだよ。
それに、そういうこと話したあと泊まりに来なくなったってことは。
「……考えたら、困っちゃったってことじゃないの? 泊まらなくなったの、そういえば1月ぐらいからだよね」
あ、やばい。涙声になってる。
「あー、気にしてた?」
「忙しいって言ってたけど、でも距離を取りたいんだなって思った」
「……ごめん。それで言いにくかったのか。なんかいろいろ、失敗した」
タケルがまた腕を回してきて、私の頭を自分の胸に押し付ける。照れたときとか、時々こうされる。顔を見られたくないらしい。
抱きしめられたまま、タケルが頭を上げたのがわかった。1回深く息を吐いて黙った後、ボソッと言った。
「同棲みたいなことはするなってのも、釘刺されてた」
え?
「まあだから、泊まらないようにしてた。バレるわけじゃないけど後ろめたいっていうか。言ってみればヒモみたいなもんじゃん、俺。女の家に転がり込んでるとか」
え? 何言ってるの?
「けど、さすがに結婚とか切り出すのもいきなりすぎるし、どうしようかなと思ってた。で、仕事に逃げてたかな」
見上げたら、居心地悪そうに、でも見つめてキスをくれた。