食わずぎらいのそのあとに。

シャワーを浴びてびしょびしょの頭で出てくるから、ソファで髪を拭いてあげる。

頭を垂れて、されるがままだ。酔っぱらい。でも子供みたいに見える。

「何笑ってるの。気持ち悪いよ」

「なんでもないよ」

笑いながら引き寄せてくるタケルは、アルコールとミントが混ざったような変な匂いがする。

キスはされないように下を向いたのに、顎を持ち上げられて、最近見てなかった勝気な顔で見下ろされる。パジャマのくせに、ボタンがはだけてて無駄な色気!

酔ってる姿がかっこいいとか、本当に夜の仕事してましたって雰囲気だよね。

匂いに顔をしかめているのに気づいたのか、キスはしないで首に顔をうずめてきた。

またなでてあげようと思ったところで耳に噛み付かれて変な声が出てしまった。やめてよ!

息を殺して笑ってる。なんなのもう。

「愛してるよ」

耳元でタケルから聞いたことない言葉が聞こえて、固まった。

「眠い」

そのまま頭を預けて寝ようとするけれど、これは照れ隠しだってわかってる。

本音の時は意外と照れるんだってやっとわかってきて、そういうところもかわいくて好き。

わかりにくい所もあるけど、優しくて、大事にしてくれて、しかも仕事もどこの部署でも重宝がられて。私にはもったいない夫だ。



ベッドに引きずるように連れて行った。

何もしないでくっついてるだけで幸せ。そんな風に思うんだなって他人ごとみたいに考えながら。



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