食わずぎらいのそのあとに。
披露宴はやらないと決めてあった。妊婦で大変だからというのが表向きの理由だけど、お互いの親戚の雰囲気が違っていてややこしい感じがするのもある。うちばっかり親戚が多い。
『授かり婚(ブライダル業界ではこう呼ぶらしい)』におススメのプランに乗っかって、GW中にホテル内で式をあげて、家族だけでこじんまり食事会をする予約ができて一安心。
ドレスを着るのは憧れだったから、妊婦も大丈夫なタイプも豊富で選ぶことができたのは嬉しい驚きだった。
「その話したら、小林達が絶対パーティしろってうるさくてさ」
平日の朝ごはんの最中にタケルがそんなことを言いだした。ドレスも大丈夫だし、してみたいなとも思ったけどね。でも今はちょっと。
「準備大変そうだし、今そんな元気ないなぁ」
「やってくれるって。香は招待したい人だけ決めればいいって。2次会みたいな感じで。どうする?」
「え、ほんとに?タケルはどう?」
「香が疲れないように考えられれば、いいと思うけど」
疲れないように、か。確かにいつも疲れてる。
「でもいいのかな、みんな忙しいのに。私の友達にもお手伝い頼んだ方がいいかな?」
「女手足りなかったら 俺の同期か真奈ちゃん達でいいよ」
そうか。社内で完結したほうがいいのかもね、確かに。
披露宴がないから二次会なんて考えたこともなかった。でも、友達に祝ってもらう会があれば、やっぱりそれは嬉しいなぁ。
もしかして、タケルが頼んでくれたのかな。私がドレスの参考にって結婚雑誌めくってたのバレてたかな。
「じゃ、やる方向で」とタケルは席を立つ。「任せとけばいいからさ」
「頼んでくれたの?」
「イベント好きだからね、あいつら」
あいまいに答えて微笑み、洗面所に行ってしまう。やっぱりそうなんだ。