見上げれば、青
失礼なことばかり、迷惑ばかりかけたのは明らかに私の方なのに。
それなのにこの人は私に謝って、心配までしてくれている。
気づけなくてごめん、って。
私が勝手に、あの場所に居続けたというのに。
「いや、迷惑かけたのは、こっちで…。ここまで運んでくれて、えっと、色々……ごめんなさい」
鳴海くんは完全なる被害者だ。
いつも通り旧校舎の屋上に来たばっかりに、私の八つ当たりを食らう羽目になった。
それに加えて、いきなり目の前で倒れた女を、保健室まで運ばなくてはいけなくなった。
屋上のど真ん中に転がってた私を心配して必死に声を掛けてくれていたあたり、鳴海くんはかなり良い人だ。
いきなり倒れた初対面の女を放っておけずに運んでくれたことも含めて。
くだらないことばかり考えて立ち止まってる私とは全然違う、——出来た人間なんだと思う。
「全部私の不注意だし、屋上に居続けたのも私が悪かったんだし。巻き込んじゃって、ごめんなさい」
布団の中で丸まっていた私は、そう言いながら寝返りをうった。
眩しく見える鳴海くんの背中から目を逸らしたくて。
自分の情けなさからも、目を逸らしてしまいたかった。
すると、スカートのポケットに違和感を覚える。
ポケットの中で、何かが擦れたような。
もぞもぞと身体を動かしながら、ポケットをまさぐる。
握るたびにかしゃかしゃと音を鳴らすその物体を取り出して見た。
(、ラムネ)
白い天井に手をかざしてみると、さっき見た、青空みたいな色をしたパッケージのラムネ菓子が握られていた。