見上げれば、青


自分のしてきたことに青ざめる。

私、鳴海くんと初対面だよね?
なのにぶっ倒れて運んでもらったの?

な、なんてこと……。


鳴海くんは私に背中を向けたまま動かない。
動く様子も、ない。


運んでもらったとか、その前に。
もっと失礼な態度を取ってしまったような気がする。

感情が高ぶってたから記憶があやふやになっていて、あまり思い出せないけれど。
鳴海くんに、怒鳴ってしまったような?

ってか、八つ当たり?
思いっきりしたような…?

先ほど自分がしてしまったことがどんどん浮かんできて慌てる。
一刻も早く謝らなきゃ、ってそう思ったのに。


「、ごめん」


私が言おうとしていた、むしろ言わなきゃいけない言葉を、私じゃなく鳴海くんが先に言った。


「え?」


私は意味が分からず困惑する。

謝らないといけないのは私の方だ。
彼は何も、悪いことをしていない。


「倒れるまで、気付かなくてごめん」


そんな言葉を私にくれた鳴海くんは、まだこちらを向いてはくれない。
どういう表情で、どんな思いでその言葉を吐いたのか分からなくて。


「日陰に避難とか、そういうこと気付かなくてごめん。」


彼は初対面で八つ当たりしてきて、しまいにはぶっ倒れた私のことを心配してくれているらしい。

私は自分の余裕のなさと心の狭さに、情けなくなってしまった。

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