見上げれば、青
制服が汚れるなんて、どうでもよくなってた。
そんなことをしなくたって、自分がもう汚れてる気がして。
洗えば落ちる汚れに、目を向ける気にはなれなかった。
額から汗がつたう。
じっとりとスカートが体に張り付く感覚が気持ち悪い。
(目を閉じても眩しい)
普段イラつく暑さも、なんだかこの日は心地よくて。
相当参ってんのな、自分、なんて再確認してしまった。
「どうにでもなればいい、」
振り絞って出した震えた声は、空に儚く消えてった。
「――……ぶ?、…じょうぶ!?、ねえ、大丈夫!!?」
その声で、曖昧な世界から急に引き戻される。
聞いたことのない、男の子の声。
ゆっくり目を開けると、あまりの眩しさに一瞬目が眩んだ。
自分の顔に、陰がかかっていることに気付く。
そして見えるのは誰か人、の顔。
ぼんやりと霞んでいた視界がクリアになってきて、目の前のモノを認識した瞬間、息が詰まった。
喉の奥がきゅってした。
か、顔が近い。
逆光と、近すぎる距離のせいで誰なのかは分からない。
「わっ、よかった。生きてた」
どうしていいか分からず、動けない。
寝てた訳だから、そのままの体制で何の変化もないんだけど。
だけど、でも。
まばたきすら躊躇する、近さ。
誰か分からず動揺する。
目の前の人は、だんだん遠ざかっていって。
やっと顔の全体が分かった。