見上げれば、青
背中に太陽を背負って、私の傍に座りこんでいるその人。
「、誰、ですか?」
私が絞り出した声は、少しかすれてた。
現状を把握するため、ゆっくりと起き上がる。
私はその少し眉を下げた表情も、透き通るような声も知らない。
見たことのない、男の子。
制服を着てるところからして、私と同じこの学校の生徒みたいだけど。
「え?あ、えーっと、2Cの鳴海亮介です。……大丈夫?てっきり倒れてると思ったんだけど」
鳴海くん、というらしい目の前の男の子は、私の安否を心配してくれていたらしい。
そりゃあ真夏に、屋上のど真ん中で女が転がってたら心配するか。
私だって同じような場面に遭遇したら(ないとは思うけど)、同様のことを思うだろう。
無駄な心配を掛けてしまい、申し訳ない気持ちが沸き上がる。
「あ、ごめんなさい。大丈夫、です」
たぶん、大丈夫。
汗は相当かいて顔は酷いことになってるだろうし、頭がくらくらするような気もするけど、大丈夫だと思う。
2C、つまり2年C組の鳴海くんは私と同級生のようだ。
やはり見たことがない、鳴海くん。
太陽に照れされてまで真っ黒な髪の毛に、瞳の色まで黒。
その黒い瞳は、モノを吸い寄せる引力を携えてるような印象を私に与えた。