見上げれば、青
何も、なかったと思う。本当に。
私は笑ってた。
みんなと一緒に、笑ってた。
あの笑顔は嘘じゃないと思う。
例えてみるなら今までの自分の人生が、全部夢だったんじゃないかっていう不思議な感覚。
誰か別の人間の人生を、私が歩んでいるような。
自分はここにいるのに、自分がどこにいるか分からない。
そんな掴みようのない違和感を、ここのところ感じていた。
本当は、私は別の人間で
ある日突然夢から覚めるの。
そして、その私は一から別の人生を歩む。
それなのにまた気付く。
あ、これも。——夢だって。
終わらないの。
ずっと続く、人生。ずっと続く、虚無。
いつからか、私は夜眠りに就くのが恐くなっていた。
布団にもぐると、またすぐに明日がやって来る。
やっと1日が終わったのに、また1日がやって来る。
そうすると私は、またなんてことない1日を過ごさなきゃいけない。
それが本当に、別の人の人生かもしれないのに。
また呼吸をして、声を出して、体を動かして。
また笑って、授業を受けて、何かを食べて。
終わりが、来ない。