俺様副社長のとろ甘な業務命令
「えぇ!? それ、ヤバくない?」
「だよね、やっぱヤバいよね、あー! どうじようぅ……」
その日の終業後。
お互い残業もなく帰れる時間が同じだった美香子が、ちょっと一杯やっていこうと声を掛けてくれた。
会社の最寄り駅付近の立ち飲み屋。
ちょっと飲んでサクッと帰る時にはよく利用しているお店だったりする。
「でも、ゆずの言う感じからすると、どっかのエリートマンっぽいよね。ね、ね、かっこ良かった?」
「それは……。て、美香子までそれ言うか」
「え? 何でよ」
「いや、ちょうど声掛けてた女子高生たちが、その人いなくなってから盛り上がってたんだよ。こっちが真っ青になってるってのに」
「なるほど……女子高生にイケメン認定されるってことは、レベル高いってことは間違いなさそうだね」
「ちょっと、そんなことより私の進退心配してよ! もしあとからクレームでもきて、クビにでもなったらどうすればいいわけ!?」
「だーいじょうぶでしょ。だって、あちらが必要ないって言ったんだし、わざわざクレームなんてしてこないでしょ」
「そうかなぁ……」
「心配しすぎだって。大丈夫だよ」
そう言われたって、スッキリ気分は晴れない。
今更うじうじ悩んでも後の祭りだけど、悪い展開ばかりが頭をよぎる。