俺様副社長のとろ甘な業務命令


「それよりさ、他に何か話したりしなかったの?」

「えぇ? そんな余裕あるわけ……あ、でも、広報が新商品の調査で街頭にも立つのか、みたいなこと言われたな、そう言えば」

「何それ! あっ、もしかして、同じ業界の人間だったりとかして?」

「え、まさか……」

「いや。あり得るでしょ? だからそんな近くで見られてたとか」


確かに、言われてみればかなり近くまで来てたからあんなことになったわけだけど……。

でも、まさかね。


「まぁまぁ、とにかく大丈夫だって、もし何かあった時はさ、そん時はそん時じゃん? ねっ」

「いや、ねっ、って……」

「もう一杯飲んじゃおーっと。おじさーん、生チュウくださーい」


もう、他人事なんだから……。


ほとぼりが冷めるまでは、当分ビクビクしながら過ごす羽目になりそうだな、なんて思いながら、残り少ないビールを飲み干した。


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