俺様副社長のとろ甘な業務命令



「おはようございまーす!」



翌日。

普段通りの時間に出社すると、社内がどこか慌ただしい空気に包まれていた。

いつもは仕事前にデスクでコーヒーを飲んでいたり、ゆったりメールチェックなんかしたりしてのんびりした雰囲気なのに、どこかみんな落ち着きなく朝から片付けなんかに勤しんでいる。


「あの、今日って何かありましたっけ?」


自分の席に荷物を置き、右隣の笹野先輩に話しかける。

笹野先輩は二年上の先輩社員で、いつもバッチリメイクのこれぞ化粧品会社勤務って感じの綺麗な女性。

三十路が近付いて、最近は婚期を逃すまいと毎週のように婚活パーティーに通っている人だ。


「あぁ、ゆずちゃんおはよ。もう朝からバタバタよ、聞いてないっての」

「え、何がですか?」

「今日から開発部に行くことになった新任の副社長」

「あー、チラッと耳には……」

「なぜか広報宣伝部にくることになったんだって」

「えっ、そうなんですか?」

「らしいのよ。で、みんな慌てて整理整頓よ」

「うっそ、そんなことなら私も早く出社したのに。やばい、超散らかってます」


昨日は例の事件でぐったりで、デスクの片付けもそこそこ退社してしまっていた。

集めた資料やら商品が無造作に置かれているデスクを慌てて片付け始める。


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